■研究の背景
川崎病冠動脈障害を客観的に判断するために、年齢や体格ごとの小児の冠動脈内径の標準値、特にZスコアでの評価の要請が高まる中、欧米ではZスコアによる冠動脈拡大の評価が普及しつつあります。
しかし、欧米で使用されているZスコア(AHA statement)は、冠動脈の超音波検査計測方法の統一がなされておらず、回帰分析によりZスコアを算出しているといった統計学的な誤りが存在します。
また、McCrindleらが報告した標準曲線は、超音波診断装置の計測精度の信頼性が劣り、かつ対象人数が221人と少ないため、回帰分析にてZスコア曲線を描いている点に統計学的誤りがあります。
日本での標準値曲線では、本研究事務局、布施らの標準曲線があります。標準曲線を作成する統計学的手法は正しいが、対象人数が544人と少なく、冠動脈内径の計測手技も統一がなされていないため、十分な信頼性が担保されていません。
以上のように、国内外において信頼性の高い小児の冠動脈内径の標準値曲線は未だ作成されていません。冠動脈の内径の標準値は川崎病の診療・研究において、最も基礎的で重要な事項であり、そのため早急に正確な正常小児における冠動脈内径標準値曲線を作成する必要があります。
日本川崎病学会 小児冠動脈内径標準値作成小委員会
■
研究代表者 布施 茂登
NTT東日本札幌病院 小児科
〒060-0061 北海道札幌市中央区南1条西15丁目
TEL:011-623-7728 FAX:011-623-7527
■
研究事務局
布施 茂登
NTT東日本札幌病院 小児科
〒060-0061 北海道札幌市中央区南1条西15丁目
TEL:011-623-7728 FAX:011-623-7527
小林 徹
群馬大学大学院小児科学分野
〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22
TEL:027-220-8205 FAX:027-220-8215