冠動脈後遺症

川崎病は全身性の血管炎が病気の本態であり、高い確率で心臓を栄養する冠動脈に後遺症を生じる。病理組織学的な報告によると、川崎病血管炎は発症後7〜8日目に始まり、ただちに動脈全周、全層の汎血管炎に至って動脈の既存構築は激しく破壊され、発症後2週間ほどで動脈拡張、動脈瘤が形成される。高度の炎症は1ヶ月ほど継続した後、40病日頃には炎症細胞浸潤は消退する。急性期の炎症によって著しく傷害された動脈には、その瘢痕としての後遺症病変が長期にわたって残存する。特に8mm以上の巨大冠動脈瘤を合併した患者は冠動脈内の血流遅滞や内皮細胞障害による血栓形成、遠隔期の冠動脈瘢痕化による狭窄性病変の形成などによって狭心症や心筋梗塞を生じる可能性が高い事が知られている。